10/2(金) 朝礼のことば

 朝晩の涼しさが季節の変化を感じさせます。秋には、「スポーツの秋」「芸術の秋」「読書の秋」「勉強の秋」「食欲の秋」などいろいろな言葉がつけられます。皆さんも今年の秋は自分らしさを生かし、何かにチャレンジする秋にしてみてください。
 さて、今月の目標は「信頼」です。信頼という言葉で、皆さんが連想することは何でしょう。また、皆さんが他の人を信頼する条件は何でしょう?私たちは時々「私のことを信頼してくれない」とか「あの人は信頼できない」という言葉を言ったり、聞いたりすることがあります。「信頼」は人とのかかわりや繋がりを前提としているので、そのような人間関係は一日や二日でできるものではなく、毎日の生活の中でお互いに育て、作り上げていくものです。皆さんは、普段信頼して欲しい家族や友達とどんなかかわり方をしていますか?振り返ってみてください。信頼を得るためには、時には自分を犠牲にし、人のために尽くさなければいけません。極端な言い方をすれば、自分のことよりも人のために尽くせば尽くすほど、信頼は自然と得られていくものです。これは本校のモットーである「自分のまわりに喜びと光をまく」ということと全く同じ意味です。他の人から信頼されるようになるには、日々の積み重ねが必要で、そのためには言葉できちんとコミュニケーションをとることも求められます。自分の考えや思いを正しい言葉で伝えられるよう一人ひとりが意識し努力してください。日々のかかわりの中で、失敗や間違いがあれば素直に謝り、また謝ってきた相手を許すことができれば、お互いに良い関係が生まれてくると思います。最近の生徒同士のトラブル事案を聞いていると、間違った情報や噂話を信じて、それに振り回されている人が多く、本人同士が直接話し合う前に相手を責め自分を正当化しているケースが目立ちます。上手にコミュニケーションをとることができず、信頼関係が築けていない証拠です。学校は、ケータイやゲームなど機械を相手にする場ではなく、友達や先生方との生きた「生(なま)」のかかわりの場です。毎日のかかわりの中で「信頼」という言葉の意味を、そして「生き方」を確認する10月にしていきましょう。
 次に、先日今年度の光塩バザーの中止をお知らせしました。このバザーは学校が開校して3年目、今から66年前に当時の新校舎である円型校舎を建てることを目的に始まりました。今から66年前といえば、日本が第二次世界大戦で負けてまだ10年しかたっていない頃です。当時は終戦直後で国全体が貧しく、新しい校舎を建てるということは難しい時代でした。そんな時、姉妹校のスペインやメキシコの生徒たちが、萩の学校建設のために「セメントを一袋ずつ寄付しよう」と、おやつを我慢したり、小さなバザーを開いてお金を集めたりして協力してくれました。このことを聞いた当時の萩光塩の保護者や生徒が、自分たちも「学校を支えるために何かしよう」と、この光塩バザーが始まりました。今では、多くの方々の協力を得ながら、地域の一大イベントになっています。伝統の光塩ビスケットを購入するために毎年多くの人が長蛇の列を作ります。それほど地域の方々に愛されてきた光塩バザーを中止することは、本当に残念で苦しい決断でしたが、生徒や協力してくださる保護者の皆さんの安全確保、そして現在の地域の経済状況などを考えての決断です。バザーは、本学院の伝統的行事であり、建学の精神、奉仕の精神を具現化することができる大切な行事で、教育的にも大きな意味をもっています。そこで今年は、生徒の皆さんが、ビスケット作りやマドレーヌ作りをとおして光塩の伝統を継承し、奉仕の精神をもって働くことの大切さを知ること、バザーの雰囲気を少しでも体験すること、また地域への感謝の気持ちを表わすことを目的として『萩光塩学院 お菓子販売会』を実施することにいたしました。形は変わっても皆さんにできることはたくさんあります。自分に何ができるかを考えながら、これから始まるビスケット作りに、まじめに一生懸命取り組んでください。