12/23(水) 2学期終業式

 今日で2学期が終わり、今年も残りわずかとなりました。皆さんにとってはどんな2学 期、どんな1年だったでしょうか。一人ひとりが、今年1年の行動を振り返り、次の新し い年につなげてください。 さて、昨年の2学期の終業式で、私は『クリスマス・セーター』という本を紹介し、そ の中で3つの大切なことを伝えました。中学・高校の2~3年生は覚えていますか?また 中1・高1の皆さんも簡単な本なので、『クリスマス・セーター』という本を是非一度読 んで、大切なことは何なのか、読み取ってみてください。今日はクリスマスシリーズ第2 弾として、『シークレットサンタ』の話しをしたいと思います。少し長くなるので、席に 座って、静かに聞いてください。

 アメリカで『シークレットサンタ』と呼ばれる男性がいました。彼の名は、ラリー・ス チュワート。23歳で化粧品会社を設立するも、会社が倒産。借金に追われ、一文無しにな ってしまいます。空腹に耐えきれず、無意識のうちにレストランに入り、食事をしてしま います。食べ終えて、請求書を出され、ようやくお金を持っていないことに気づきました 。お金を探すフリをしながらも、警察に突き出される覚悟をした時、一人の男性店員がラ リーの横にしゃがんで、20ドル札(約2,000円)が落ちていたと渡してくれました。ラリー は、そのおかげで会計を済ませることができました。この20ドルが、後に彼の運命を大き く変えていきます。翌年、ラリーは、警備会社を設立し、今度こそ成功してやろうと思っ ていました。結婚して子供も生まれ、幸せな生活を手に入れかけますが、5年後、不況で会 社が倒産し、その日の食事代にも困るほど追いつめられます。貧しさのせいでラリーは我 を忘れ、銀行強盗を決意しました。銀行に入り、ポケットの中の銃に手をかけた時、目の 前の少女が貯金をしようと20ドル札をカウンターに出しました。ラリーは、その20ドル 札を見て我に返り、銀行強盗を思い止まりました。銀行を出た彼は、そのままレストラン に向かい、あの時の男性店員に「僕のこと覚えていますか?4年前にこのレストランに来 た者です。あの時の20ドルは...」と聞きました。店員は「クリスマスは皆がHappyにな れるんだよ」と一言だけ言いました。ラリーはこの言葉で、(今までは自分が成功するこ としか考えていなかった。しかしこれからは他者のために行動していこう‼)と決意しまし た。その後ラリーは、妻の兄の援助を受けてセールスマンとして働き始めますが、またし ても会社の経営難で、仕事を失います。途方に暮れていた時、ふと目についた売店でポッ プコーンを注文すると、店員の女性がとても暗い表情をしているのに気づきました。ラリ ーは、彼女が困っているのだと思い、おつりの中から20ドル札をプレゼントします。「受 け取れない」と断る女性店員に、ラリーは「クリスマスプレゼント」だと言います。この 日はクリスマスだったので、女性は嬉しそうにお礼を言いました。ラリーは、彼女の笑顔 で明るい気持ちになり、銀行でなけなしの貯金を引き出し、赤い服とベレー帽姿で町に繰 り出しました。そして困っている人や貧しい人に20ドル札をクリスマスプレゼントとして 渡し始めたのです。これがシークレットサンタの誕生です。家に帰ると、妻から「銀行に お金がなかった」と言われました。ラリーが「落としてしまった」と答えると、妻は怒る どころか「仕方がないわね、でもあなたはすごく幸せそうね」と微笑んでくれました。翌 年、ラリーは長距離電話の会社を設立しました。お金儲けのためではなく、遠く離れて暮 らしている家族のためになればという奉仕の精神から会社をつくったそうです。そして、 その年のクリスマスも困っている人々に20ドル札をプレゼントする活動を続けました。 不思議なことにシークレットサンタとなって、人に尽くせば尽くすほど、会社は大きくな り、ラリーの生活は豊かになりました。それからもラリーは、家族には内緒で活動を続け ましたが、ついに妻にシークレットサンタがラリーであることがバレてしまいました。「すまない」と謝るラリーに、妻は「素敵なことじゃない。これからはもっと節約してたく さんの人を助けられるように協力するわ」と言いました。以後、家族もラリーの活動を陰 から支えるようになります。地元ではすっかり有名になったシークレットサンタですが、 彼らは一切表舞台に出ようとしなかったそうです。27年間に渡る活動で、ラリーが配った 総額は150万ドル(約1億8000万円)になったそうです。 ラリーは、2006年12月、突然、自分がシークレットサンタであることを告白しました 。同時に、癌のため余命1ヶ月であることも。彼は、その年のクリスマスもシークレット サンタとして活動しましたが、約20日後の1月12日に58歳でこの世を去りました。彼 のおこなった行為は多くの人の賛同を呼び、今も別のシークレットサンタたちが、その意 志を受け継いで、全米で活動を続けています。 あの時の男性店員は「警察に突き出すのではなく、自らの過ちに気づき、他者への優し さを知って欲しかった」と20ドルを渡したそうです。ラリーと男性店員の行動は、利益優 先の資本主義社会の中で忘れられがちな〝他者への優しさ"を再認識させてくれます。他者 にあれこれ要求するだけの人には全く人が集まらず、お金も集まりません。しかし、他者 に優しくしたり与えたりする人には、人望もお金も集まるのです。ラリーのように自らの 失敗から学び、他者に何かしてあげたいと思う心、そして、それを実践する行動力は素晴 らしいものです。皆さんにはそのことを是非見習って欲しいと思います。 コロナ禍で、世界中が暗い気持ち、やるせない気持ちになっている時だからこそ、クリ スマスには、みんなの笑顔を見たいものです。あの時男性店員が言った「クリスマスは、 みんながHappyになれるんだよ」希望が持てるとても良い言葉です。明日はクリスマス・ イヴ、明後日はクリスマス。優しい気持ちになって、今年一年迷惑をかけた家族や喧嘩を した友だちを笑顔にするために行動してみましょう。 最後に、冬休み中も気を緩めることなくコロナ対策を実践し、3学期の始業式にはみん なで元気に会いましょう。