5/7(金) 朝礼のことば

緑の美しい季節になりました。今年もコロナの影響で、不要不急の外出を自粛しなければいけないゴールデンウィークとなりましたが、皆さんはどのようにこの連休を過ごしたでしょうか?ゆっくり休んで新年度の緊張感からくる疲れをとった人、部活づけの毎日だった人、家の片づけや掃除など普段できない手伝いを積極的に行った人。それぞれ工夫した休みを過ごしたことと思います。5連休で心も体も学習モードになっていないかもしれませんが、今日からもう一度気持ちを切り替え、緊張感をもって学習に取り組んでください。18日からは、新年度最初の定期試験が始まります。一回のテストが自分の将来に大きく影響します。特に高校3年生にとっては、1学期に行われる2回の試験が、これからの進路決定に大きな影響を与えます。必ず最高の結果が出せるように努力してください。

さて、本校はミッションスクールなので、今日はカトリックの世界について話したいと思います。カトリック教会において5月は、聖母マリアを讃える月です。ヨーロッパ各地では、春の訪れを喜ぶお祭りとしてマリア祭が行われます。また昨年・今年とコロナの影響で中止となりましたが、萩から近い島根県津和野町でも、マリア像を担ぐ行列で有名な乙女峠祭りがこの時期に行われ、全国から2000人以上の方が訪れます。乙女峠祭りは、明治初期に、政府によるキリスト教弾圧で亡くなった殉教者を追悼することを目的に行われています。2018年には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録され、翌年は長崎・浦上地区から津和野町に送られ殉教した37名について、福者の認定を受けるための調査が開始されました。皆さんもせっかく光塩に入学したのですから、ぜひ一度乙女峠祭りや「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を見学し、学習してみてください。ちなみに今年の中3は、コロナの影響でサイパン修学旅行が中止となったので、長崎と天草地方潜伏キリシタン関連の世界遺産を見て回る予定です。

また、今本館1階階段横のマリア像の側に聖ぺトロ・ノラスコの像が飾ってあります。昨日5月6日は聖ぺトロ・ノラスコのお祝い日です。ぺトロ・ノラスコは、今から803年前の1218年、スペインに本校の設立母体であるメルセス会を創立されました。当時は、イスラーム化されたイベリア半島をキリスト教徒の手に取り戻す国土回復運動(レコンキスタ)が展開されていました。捕虜となったキリスト教徒を守る必要性を強く感じられたぺトロ・ノラスコが、その目的を果たすためにメルセス会を創立されました。11世紀から13世紀に行われた十字軍の遠征や13世紀から15世紀に行われたレコンキスタは高校の世界史でも習う内容です。皆さんにも是非聖ぺトロ・ノラスコのことを知って欲しいと思っています。

これまでキリスト教について勉強する機会がなかった人も、世界史や日本史の視点からでもキリスト教について知ることができます。興味を持った人は宗教の時間や世界史・日本史の時間に是非質問してみてください。

最後に、今月の学院の目標は「かかわり」です。私たちが自分の周りの人と良いかかわりをもつことはとても難しいことです。私は、良いかかわりをするために、2つのことを意識しています。ひとつは積極的に人と接すること。もうひとつは、一人で過ごす時間を大切にすることです。このふたつは相反するようですが、決してそうではありません。人とのかかわりは、自分が傷ついたり、相手を傷つけたりすることもありますが、かかわることから逃げていては、いつまでもお互いを理解し合うことはできません。苦手な人を避けていては、相手も心を開いてくれません。強い心と勇気をもってコミュ二ケーションをとることによって周りの人と良い人間関係が築けるのだと思います。また、多くの人とかかわることは、ストレスがたまるものです。そして、時としてイライラして相手を批判してしまいます。しかし、そのイライラの原因は相手ではなく、自分自身にあることがほとんどです。人と上手にかかわることができない人と話していると、その多くは、必ず原因を相手のせいにしています。自分には反省することはないのでしょうか?私は、そんな時こそ一人で趣味の時間に没頭したり、豊かな自然を眺めたりして、一人の時間を持つことで心の中にゆとり持ち、自分自身の行動を客観的に見直すことが必要だと感じています。人から見て自分の発言や行動はどうだろうかと考え、見直すことで、かかわり方が改善され、本当の意味で良い人間関係を築くことができるようになるのではないでしょうか。

今月は、かかわりと自分を見つめることの両方を大切にする月にしていきましょう。