7/19(月) 終業式

今日で1学期が終わります。1年生は、緊張の入学式から始まり、初めて出会う友だちとのかかわり、新しい勉強、そしてコロナで制限された学校生活など、慣れないことばかりで少し疲れた1学期だったと思います。2年生、3年生は、昨年1年間、コロナ禍での学校生活の経験はありますが、持っている力を思いっきり出し切る場面が少なく、気持ちの切り替えが難しかったかもしれません。今年の1学期も、皆さんにとっても学校にとっても先の見えない、不安で大変な1学期でした。しかし、生徒の皆さんや先生方、保護者の方の協力のおかげで、無事に1学期を締めくくることができ、今はほっとしています。ただ、夏休みになっても決して油断せず、しっかり感染対策をとって健康的な毎日を過ごすようにしてください。

さて、夏休みに入ってすぐに東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。このような状況下でのオリンピック開催には、様々な意見があると思いますが、今日、私が皆さんに伝えたいことは、この東京オリンピックに出場する一人のアスリートについてです。

皆さんは水泳の池江璃花子選手のことを知っていますか?彼女は2015年、14歳で出場した日本選手権女子50mバタフライで優勝し一躍有名になりました。翌年の2016年には、16歳でリオデジャネイロオリンピックの日本代表になりました。2017年には、日本選手権で大会初の5冠、翌2018年の日本選手権では、出場した全ての種目で日本新記録をマークし、同じ年に行われたアジア大会では6種目で優勝しました。この時の彼女は、正に敵なしで、2020年に行われるはずだった東京オリンピックでのメダル獲得も期待されていました。しかし、2019年2月、彼女は、突然病魔に襲われ、白血病と診断されました。白血病とは簡単に言うと『血液のがん』です。この時彼女は皆さんと同年代の18歳でした。白血病と診断された後、彼女は、自分の心の葛藤を次のようにSNSに投稿しています。

〇「少し休養を取り治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたい」「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています」

さらに3月には、白血病の治療に取り組んでいる時の心境を次のように投稿しています。

〇「思ってたより数十倍、数百倍、数千倍しんどいです。三日間以上ご飯も食べれていない日が続いてます。でも負けたくない」

白血病の治療では一般的に抗がん剤を使い、彼女はその副作用で髪の毛もすべて抜け落ちてしまいました。2019年12月、彼女は10か月に及ぶ入院治療が終わり、やっと退院することができました。その後すぐにトレーニングを始めて2020年8月、1年7か月ぶりに大会に出場しました。そして今年4月の日本選手権、女子100メートルバタフライで優勝し、東京オリンピックの日本代表に内定しました。この時彼女は

〇「自分が勝てるのは、ずっと先のことだと思っていたけど、勝つための練習もしっかりやってきた」「自分がすごくつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなんていうふうに思いました」と語りました。

彼女は、突然、白血病宣告という地獄に突き落とされ、一度は東京オリンピックの出場も諦め、病気と闘い、それを克服して次のパリオリンピック出場を目標に毎日毎日努力してきました。退院後の彼女の努力はすごいもので、あきらめていたはずの東京オリンピックに出場する権利を手に入れることができました。私が今日、皆さんに伝えたいのは池江選手が言った

〇「努力は必ず報われるんだ」という言葉です。

どんなに苦しいことがあろうが、つらいことがあろうが、あきらめない気持ち、強い気持ち、信念があれば、人はそれを叶えるために努力をし、その努力は必ず報われる時が来ます。中学生や高校生の時にした努力は、決して裏切ることなく、皆さんの力になります。この夏休み、オリンピックで活躍している池江選手の姿を見ながら、皆さんも自分の目標を思い出し、気持ちを奮い立たせて努力してみてください。そうすれば、きっとこの先、皆さんにとって良いことがあるはずです。「努力は必ず報われる!」からです。

最後に、特に中3、高3の生徒に伝えておきます。自分の夢を実現したいなら夏休みを利用してしっかり進路について考え、準備をしてください。できる限りの手段を使って情報を収集し、自らの考えをもとに保護者や先生方としっかり相談して、最後は自分の責任において進路を決定してください。そして進路先の傾向と対策を考えながら徹底的に学習してください。言い訳はできません。今できることをしっかりやりましょう。

それでは、2学期の始業式で真っ黒に日焼けした皆さんの元気な顔を見ることを楽しみにしています。