7/2(金) 朝礼のことば

来週から学期末試験が始まります。中学校・高校の3年生にとっては、1学期の試験結果が、今後の進路先決定の大きな判断基準となります。特に高校3年生は、この学期末試験までで進学・就職のための成績が決まります。希望の進路、夢を実現したいなら、体調管理も含めて、言い訳は一切せず、必死に学習に取り組んでください。結果はすごく大事です。しかし先生方は結果だけでなく、皆さんの取り組みや頑張り方も見ています。今回の試験では、高3の皆さんの頑張りに期待しています。

さて、今月の学院のテーマは『喜び』です。今日は最近、私が感じた『喜び』について話したいと思います。3週間前の昼休み、中学校の給食の様子を見終わって校長室へ戻ろうとしていた時のことです。私は、3号館の2階から本館の2階に移動し、中央階段を降りていました。その時、私の前に、紙袋を持った高2の男子たちがいました。高校生は弁当を食べている頃だったので、私は「弁当かパンが入った袋を持っているのだろう」と思っていました。しかしよく見ると、彼らが持っていた袋には小さな紙が貼ってありました。私はそれを見て、男子生徒が持っていたものは、以前宗教委員会が呼びかけていた「ほしの家への支援物資」だということに気づきました。

『ほしの家』とは、日雇い労働者などが多く住む東京の山谷地区にある支援施設のことです。ここでは、病気で体を壊したり、労働災害などで障害者となったり、高齢化などで日雇労働ができなくなったりした人たちを支援しています。代表者はメルセス会のシスターです。宗教委員会では、コロナ禍でもできるボランティア活動として、生活に困まっている人たちのために支援物資を送るための協力を呼び掛けていました。

私は、この生徒たちが〝全校放送やクラスで、宗教委員から呼びかけられたことをちゃんと意識して聞いていたこと″〝その趣旨を理解し支援物資として何が必要なのか、教室に掲示してあるプリントで確認したこと″〝そしてそのことを家に帰って家族に伝え用意してもらったこと″〝保護者の方も気持ちよく協力してくださったこと″〝それを学校に持ってきて自ら支援物資の箱に入れたこと″など、この活動に協力するための一連の流れを想像したとき、「この生徒たちはすごいな‼」と思い、大きな『喜び』を感じました。高2の男子だけではありません。呼びかけた宗教委員会の人も率先して協力していたし、他にも多くの人が協力してくれました。率先してこのような行動をすることは本当に難しいことで、社会の様子や周りの出来事に関心を持たず自分のことしか考えられない人、自分の利益ばかりを優先する人にはできないことです。自分の知らない他者のために行動することは、その人たちの境遇を想像し、その人たちのために心が動かされないと行動することはできません。光塩では『世の光・地の塩』という建学の精神に従って、他者のために行動し、他者を大切にすることを教えています。口だけ、言葉だけできれいごとを言うのは簡単ですが、自ら考え、手本となる行動ができたことは本当に素晴らしいことです。今回は、宗教委員会の呼びかけに協力してくれた生徒の皆さんの姿から、改めて大切なことに気づかされ、気持ちの良い『喜び』を感じることができました。

私は『喜び』とは、嬉しいこと・楽しいことだけでなく、心の奥から出てくる「安心感や充実感」だと思っています。他者のために行動した人は、きっと後から大きな安心感や充実感を味わうことができるはずです。生徒の皆さんは、今自分にできること、しなければならないことに誠実に取り組み、目標をもって行動していくことこそが、今後の『喜び』につながっていきます。今月は、他者を思いやり、他者に喜びを与えるとともに、自分の将来の『喜び』に出会うことができるよう取り組んでいきましょう。