9/16(金) 朝礼のことば

 毎週水曜日夜11時からNHKで、パンサー尾形が難解な数学の世界を大真面目に解説する異色の知的エンターテインメント番組、「笑わない数学」が放送されています。

7月に始まったこの番組では、「素数」「フェルマーの最終定理」「連続体仮説」「四色問題」など、いろいろな数学の話題について、1回30分の番組の中で「トコトン分かりやすく掘り下げ」ています。

「フェルマーの最終定理」というのは、「nが3以上の整数のとき、x ny nz nを満たす整数xyzは存在しない」というものです。nが2のときは三平方の定理と言って、x2y2z2を満たす整数xyzは、3,4,5や5,12,13など無数にあります。しかし、nが3以上になるとそれを満たす整数を見つけることはできません。そして、フェルマーはこの定理を書いた文書の中に、「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」と言って、証明を残していませんでした。そこで、この定理を数多くの数学者が証明しようと試みましたが、完全な証明ができたのは、フェルマーの死後から330年も経った1995年でした。フェルマーの最終定理については、新潮文庫の「フェルマーの最終定理」という本にとても読みやすく書かれていますので、興味のある人は読んでみてください。

また、「素数」については、これも新潮文庫の「博士の愛した数式」という小説をおすすめします。読んだ人はきっと数の世界が好きになるはずです。因みに、村上先生が冬場に着ているいろいろな文字が書いてあるトレーナーは、この本の中の博士が着ている上着が元になっています。

話がそれましたが、この「笑わない数学」という番組をぜひ観てみてください。「何事の おわしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」という西行法師の言葉のように、数学がわかるようには決してなりませんが、「数学ってなんか面白そうだな」と、きっと思えるはずです。