2学期終業式

 今日で2学期が終わり、今年も残りわずかとなりました。皆さんにとってどんな2学期、どんな1年だったでしょうか。一人ひとりが、今年1年の行動を振り返り、良かったところは継続し、悪かったところはそのままにせず見直して、次の新しい年につなげてください。
 さて、先週の土曜日、私は、萩カトリック教会で行われた聖堂コンサートに行ってきました。本校の卒業生のピアニストの方や吹奏楽部、合唱部も参加したコンサートです。教会の中で聴く音楽はとても神秘的で、普段聞くものよりもさらに心に響き渡りました。音楽的センスが全くない私にもいろいろな感情を呼び起こさせるものでした。このコンサートの中でクリスマスの意味やクリスマスを迎えるまでの過ごし方についての話しもありました。私は、この学校に勤めて毎年のように、クリスマスの意味についての話しを聞いてきたので、自分ではよく理解しているつもりでしたが、今年また改めて聞くと、自分自身が本当にそのような行動をとっているか...と反省ばかりでした。私たちは、人には「こうあるべきだ」「こうしてあげなさい」と言いますが、自分はそのような行動をとっているでしょうか。時には自分を犠牲にしてでも、人のために行動しているでしょうか。口先だけでどんなきれい事を言っても、行動が伴っていなければすぐに見抜かれてしまいます。クリスマスの意味を知ることは、自分自身の行動を振り返る良い機会にもなります。私はこれまでも2学期の終業式では、クリスマスにまつわる話をしてきました。それは、やはりカトリックの学校に通っている皆さんには、クリスマスの本当の意味を知り、心の温かい人になって欲しいと願っているからです。一昨年は『シークレットサンタ』の話をしました。3年生は覚えていますか?その前の年は『クリスマス・セーター』の話をしました。1年生・2年生もこれらの本を読んで、クリスマスで大切なことは何なのかを考え、行動できるようになってください。
 今日は、クリスマスシリーズ第3弾として、「クリスマスに届けたいちょっといい話」「こころのチキンスープ」というシリーズの中にある『理想の兄』という話しを紹介します。
 ある年のクリスマス・イブのこと、ポールは、兄さんからクリスマスに新車をプレゼントしてもらった。
ポールがオフィスから出てくると、街でよく見かける少年が、そのピカピカの新車のまわりを歩き回っていた。よほどその車が気に入ったらしく、ポールに話しかけてきた。
「この車、おじさんのかい?」
「ああ、兄貴からのクリスマスプレゼントさ」
と、うなずきながらポールは答えた。少年はそれを聞いてひどく驚いた様子だった。
「えっ? おじさんの兄さんがくれたって?おじさんは全然お金を払わなくてよかったの?うわあっ、すごいな?ぼく・・・」
と、少年は何かを言いかけたが、そのまま口をつぐんでしまった。少年は、
「ぼくにも、こんな兄さんがいたらなあ」
と言いたかったのだろう、とポールは思った。ところが少年の口から出た言葉にポールは耳を疑った。
「ぼくね、おじさんの兄さんみたいになりたいなって思ったんだ」
ポールは、まじまじと少年の顔を見つめていたが、自分でも思いがけない言葉が口をついて出ていた。
「この車に乗ってみるかい?」
「本当? ウン」
車を走らせてまもなく、少年の目はキラキラと輝き始めた。
「おじさん、ぼくの家の前まで乗せてくれる?」
ポールは思わずニヤッとした。きっと、こんな大きな車で帰ってくるところを近所の人たちに見せて、自慢したいんだなと思った。しかし、その憶測はまたもやはずれた。
「あそこに階段がついている家が見えるだろう?そこでちょっと待っててくれる?」

少年は車を降り、駆け足で家に入っていった。しばらくすると家の中から、ゆっくりとした足音が聞こえてきた。少年が身体の不自由な弟を背負って出てきたのだった。弟を階段の一番下に座らせ、車がよく見えるように弟の身体を支えた。
「ほらバディー、見てごらん。さっき言ったとおり、すごい車だろ。
そこにいるおじさんの兄さんがクリスマスプレゼントにくれたんだって。それも、まるっきりタダでくれたんだって。お前も、待ってなよ。
兄ちゃんが、いつかきっとあんな車をお前に買ってやるからね。そしたら、いつも話してるクリスマスのきれいな飾りを、その車に乗って見に行こうね」
それを聞いたポールは何も言わずに車を降りると、少年の弟を抱き上げ、新車の助手席に座らせた。
目をキラキラ輝かせた少年もその横に乗り込むと、三人はドライブに出かけた。本当にすばらしいクリスマスのドライブだった。
このクリスマスの日、ポールは聖書のみことばをしみじみ感じたのである。
「受けるよりは与えるほうが幸いである」
 皆さん、いよいよ明後日はクリスマス・イヴです。今年のクリスマスは、皆さんにもこの御言葉のようなクリスマスを過ごして欲しいと思います。大切な家族・大切な友だちと素敵なクリスマス、そして良いお正月を過ごしてください。