1月12日(金) 朝礼のことば

1月のテーマは「平和」です。みなさんはどのような時に「平和だなあ」と感じますか。私は夜眠る時に、「平和だなあ」としみじみと感じています。
 私はつい夜更かしをするせいで、家族で一番最後に寝床に入ることが多いので、たいてい妻と息子はすやすやと安らかな寝息を立てて眠っています。その寝息を聞いていると、『大人になれなかった弟たちに……』という米倉斉加年の自伝的小説を思い出します。この小説は中学一年生の国語の教科書に掲載されているので、生徒のみなさんも話の内容を覚えていることと思います。
 その話の中で、主人公の「ぼく」が狭い防空壕の中ではおちおち眠れなかったという記述があり、戦時中の人々の苦労が想像できます。それと同時に、自分は空襲で命が奪われるといった危険もなく、安心して手足を伸ばして眠れるのだと思うと、「なんて平和なんだろう」と思わずにはいられません。
 しかし残念ながら、夜ゆっくり眠れるということが実は「平和」なことであると、私は日中にあまり意識していません。あまりにも当たり前すぎて、それがどれほど幸せなことなのかを、目が覚めている時にはすっかり忘れているからです。
 そこで私は、日常の些細なことの中からできるだけたくさんの「平和」を見つけ出していくことによって、自分がいかに「平和」な世の中で生きているのかを実感したいと考えています。今の生活が「平和」にあふれていることを意識し、維持しようと努力すること、そして何よりそれが多くの人の支えから成り立っていることに感謝して日々を過ごすことが、我々にとって大切なことなのではないでしょうか。