12/22 校長先生のお話(2学期終業式)

 今日で2学期が終わります。そして今年も残りわずかとなりました。皆さんにとってはどんな2学期で、どんな1年だったでしょうか。一人ひとりが、今年1年の行動を振り返り、良かったところ、悪かったところを確認して、次の新しい年につなげてください。

 さて、皆さん、18日に行われたクリスマス祝いはどうでしたか?これはカトリックの学校である本校ならではの行事です。特に中1・高1の皆さんにとっては、初めてのクリスマス祝いでした。クリスマスは、プレゼントをもらったり、ケーキやチキンを食べたりするだけの日ではなく、深い深い意味のある日だったことが分かったと思います。

 私は、2学期の終業式は、クリスマスが近いこと、本校がカトリックの教えを大事にしていることから、できるだけクリスマスにちなんだ話しをするようにしています。それを元に皆さんに自分自身を振り返り、より良い人間関係を築いたり、落ち着いた生活を送ったりする材料にしてほしいと考えています。そこで今年は、6~7年前にした『クリスマス・セーター』という本の話を皆さんにしたいと思います。聞いたことがある人もいるかもしれませんが、しっかり聞いて、もう一度自分を振り返る機会にしてみてください。

 『クリスマス・セーター』という本は、アメリカの人気キャスター、グレン・ベックという人が書いた本です。主人公は、エディという12歳の少年で、父親はパンとケーキの店を経営していましたが、病気で亡くなってしまいました。母親はいくつも仕事を掛け持ちしますが生活はとても苦しい状況でした。エディはいろいろ我慢を強いられます。いっぱい我慢してきたけれど、その年のクリスマスには赤い自転車がどうしても欲しかったのです。そのためにエディは、ごみ出しをしたり皿洗いをしたりと自転車を買ってもらうためにあらゆる努力をしました。             

 しかしお母さんがくれたプレゼントは手編みのセーターでした。家が貧しいということは分かっているのですが、今年こそは自転車がもらえると思っていたエディはすごく落ち込みました。その日、エディとお母さんは車で片道1時間半かかるお祖父ちゃんの家にクリスマスのあいさつに行きました。でも、お祖父ちゃんの家に行ってもエディの心は晴れず、お母さんの編んでくれたセーターを粗末に扱います。床に放り投げられていたセーターを見てお母さんはとても悲しい思いをしました。                                                   

 その日はお祖父ちゃんの家に泊まる予定でしたが、おもしろくないエディは家に帰ると言い出します。お母さんは疲れているから泊まろうと何度も言うのですが、エディは聞きません。お母さんは仕方なく帰ることにし、車の中でエディに次のように言います。「お母さんは仕事を4つも掛け持ちしている。この2年間ろくに眠っていない。辛いのはお母さんも同じ。辛い辛いと不満ばかり言うこともできるが、自力で何とかしようと前向きに頑張ることもできる。幸せになるか、みじめな生き方をするか、それは自分で選ぶものだ」と。しかしエディは心を開かず、眠ってしまいます。そしてお母さんも…。

 気がつくとエディは病院のベッドの上でした。お母さんは居眠り運転で亡くなってしまいました。エディは最愛の母を亡くしてはじめて、自分が失ったものの大きさに気づきます。自転車などいらなかった。手編みのセーターをプレゼントしてくれたお母さんがいるだけで幸せだった…と。                                                                                                                                        

 

 この話はまだ続きがあり、最後には奇跡がおきて、しっかりとクリスマスらしい良いお話しになります。読んでみたいと思う人もいるかもしれないので、これ以上の紹介はしないでおきます。最近、物事が上手くいかないと悩んでいる人、温かさに触れたい人にお薦めの本です。

 この本が伝えるメッセージはいくつかありますが、私は特にそのうちの3つを皆さんに伝えておきたいと思います。

 1つめは、お母さんが亡くなる前にエディに言った言葉『幸せになるか、みじめな生き方をするか、それは自分で選ぶもの』というメッセージです。皆さん、ちょっと想像してみてください。学校の文句、友だちの文句など不平不満ばかりを言っている人をどう思いますか?素敵だな、かっこいいなと思いますか?そんな人を見ると逆に「かわいそうだな」と思いませんか?不平不満ばかりを聞いていると嫌な気持ちになりませんか?不平不満を言っている人は、自分は正しい、間違っていない、と思っているかもしれませんが、実は周りから見ると、決して気持ちの良い行動ではないのです。不平不満を言うことは、周りを嫌な気持ちにするだけで何も改善することはありません。私は皆さんには、これから先どんなに辛いことがあっても、不平不満を言うのではなく、前向きに努力して、自分の力で幸せをつかみ取る、そんな生き方をしてほしいと思っています。

 2つ目のメッセージは、「人の気持ち、相手の気持ちを理解する」ということです。この話の中で、大切なもの、お母さんの命を失うことになった原因は、エディがお母さんの気持ちを分かろうとしなかったことにあります。お母さんの気持ちを理解していればセーターを粗末に扱わず、心のこもった手編みのセーターで十分嬉しかったはずです。また、疲れているお母さんのことを思えば、「帰る」などとわがままは言わなかっただろうし、お母さんを亡くすという取り返しのつかないことにもならなかったはずです。エディがどんなに自転車を欲しがっているか分かっていても、買ってやることが出来なかったお母さんの辛い気持ちを想像することが出来さえすれば、結果は大きく違っていました。皆さん、知らず知らずのうちに自分の思いや考えばかりを主張していませんか?ふと相手の立場になってみることが大切です。人の思いを理解できる人になってください。

 3つめのメッセージは、「本当に大切なものは、皆さんのすぐそばにある」ということです。エディにとって本当に大切なものって何だったのでしょう。自転車ですか?違いますよね?!お母さんですよね。エディは、お母さんがいつもそばにいることが当たり前すぎて、その大切さを見失ってしまっていました。皆さんも、皆さんにとって大切なものを、当たり前すぎて見失っていませんか?いつもそばにいる家族、友だち・・・失ってから後悔してもどうすることもできません。皆さんにとって本当に大切なものをもう一度、すぐに確認してみてください。

 この3つがこの本の作者が、特に伝えたかった大切なメッセージだと私は思います。2学期の終わりをむかえるにあたって、本当のクリスマスの意味を知った皆さんには、「今学期どれだけ人の思いを理解するよう努めたか」もう一度振り返ってみて欲しいと思います。

 それでは皆さんが、素敵なクリスマス、素晴らしい新年を迎えられることを願って、私の話しを終わります。

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