朝礼のことば
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11/8(金) 朝礼のことば
今月の学院のテーマは「希望」です。皆さんは「希望」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?したい事、叶えたい夢など「個人の望み」を考える人が多いと思います。私も、以前は「希望」と聞くと、まず自分個人の望みが叶う事について考えていたように思います。これが欲しい、そに行きたい。あれがしたい・・・などなど。日々の生活の中で、私たちはさまざまな困難や不安に遭遇し、押しつぶされそうになることが多くあります。それを解消するための望みや、そんな不安な気持ちをとりさって、気分転換をさせてくれ、一歩踏み出す勇気を与えてくれる。そんな効果が希望にはあると思います。「希望の光」という言葉があるように、希望は私たちの心の中で進む道を照らしてくれる「道しるべ」となるのではないでしょうか?個人の希望ももちろん大切ですが、大人になるにつれ「希望」は個人の望みだけを指す言葉ではないと考えるようになりました。今、私は3年生の担任をしています。担任としての希望は、「クラスの生徒の一番の味方であること」「クラス全員が、自分たちの希望する進路へ進むこと」「クラスの生徒が立派に卒業すること」「そのために、全力でサポートすること」です。希望を叶えるためにはただ願うだけでなく、それに向けて前向きに努力を続けていくことも大切です。先日探究の時間に、創立後の学院について話をしました。「自分たちの学校のために、自分たちでできることをしよう」と始められた伝統ある光塩バザーで、「自分たちに何ができるか」を考えて率先して協力し、高3の皆が良いお手本となって良いものにしていこうと話をしました。バザーに向けての希望は、「一人でも多くのお客様に喜んで貰うこと」です。ビスケット作りが本格化してきました。朝早くから、ビスケットの生地作りや準備を手伝ってくれている皆さん。毎日授業で心を込めて一生懸命に作業をしてくれている皆さん。昼休みを返上して、ビスケットを焼きに来てくれる皆さん。授業の入れ替わりの際に、次の時間ギリギリまでオーブンや、台の片づけをしてくれる皆さん。放課後に丁寧に袋詰めの作業をしてくれる皆さん。本当にありがとうございます。先輩達が、下級生に丁寧に作業する様子を見せ、良いお手本となることでこの奉仕の精神が伝統として続いていくのだと日々感じています。私も、自分にできることをしっかり考えて生徒や先生方の協力を支えに、感謝の気持ちを忘れずに最後まで心を込めて丁寧にビスケット作りをしたいと思います。皆さんも、これからも今を大切にし、周囲の支えに感謝をしながら、前向きに「希望」をもって生活をしてください。家族のこと、友人のこと、部活動のこと、後輩や先輩のこと、学校のこと、社会のことなど、自分の周りのことを考え、皆さんの「希望」が広がっていくことを願っています。
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10/11(金) 朝礼のことば
今週から試験週間に入り、皆さんにとって辛い1週間がはじまったことと思います。私も学生の頃、正直勉強は好きではありませんでしたが、この試験週間には、やるべきことから逃げてはならないと真面目に取り組んでいたつもりです。みなさんも勉強から逃げたくなることもあると思いますが、自分の将来のために今頑張ってみてください。 私は先日、高校3年生のキリスト教ヒューマニズムの授業でキング牧師のことを取り上げました。キング牧師は「I have a dream 私には夢があります 肌の色でなく人格そのもので評価される国を」と人種差別撤廃を訴えた人です。皆さんにはどんな夢がありますか?私が皆さんと同じ中学・高校生の頃には、海に潜って魚をモリで突き、サザエやアワビをたくさん採る海女さんになりたいという夢を持っていました。しかし、あれから10年近くがたった今、その夢を叶えることはできるでしょうか。現在では地球温暖化により海の生態系は大きく崩れ、今やアワビの収穫量は10年前の半分だと言われています。そういった中では、当然海女さんとして一生生活していくことは難しいでしょう。このように、今私たちは自分の手で将来の可能性を狭めているということに、皆さんは気づいていますか。 朝4時、食べ物をほんの少しだけ口にした後、新聞配達に。配達後はバイクタクシーの値段交渉の仕事、その後は夜まで食器洗いや物売り。その仕事が終わると、休む間もなくベビーシッターの仕事。小さな子供に食事を与えるが、自分はご飯を食べる時間もない。すべての仕事が終わるのは夜の23:00過ぎ。今紹介したスケジュールは、カンボジアで生活するソリカちゃん12歳の女の子の1日です。私たちが毎日学校に通い、友達と楽しく過ごし、家に帰っておいしいご飯を食べている間、世界には私たちより小さいにも関わらず、生きるために働かなければならない子供たちがたくさんいるのです。 光塩では各委員会を中心にSDGs活動を行っていますが、決められた活動だから、先輩が行っていたから取り組む活動になっていませんか。もう一度原点に立ち返り、困っている人のために自分ができることを一人ひとりが見つけてください。マザーテレサの有名な言葉の中に、「大切なのはどれだけ大きいことをしたかではなく、どれだけ心を込めたかである」という言葉があります。まずは小さなことからでも、1つ1つの行動に最大の愛をこめてみてください。 先ほど紹介したソリカちゃんの夢は学校の先生になることだそうです。私たちの手で、誰かの将来の選択肢を狭めるようなことがこれ以上あってはならないと思います。改めて自分自身の生活を振り返り、恵まれた環境にいることに感謝し、同じ地球に住む兄弟姉妹のために行動できる人になっていきましょう。
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10/4(金) 朝礼のことば
10月のテーマは、“信頼”です。 言葉を調べると、信頼とは、“信じて頼りにすること。頼りになると信じること。” 「信頼できる人物」「両親の信頼にこたえる」「医学を信頼する」等・・・と、書かれていました。 先日の「信頼」についてのお話の中に、幼子のような素直な心で・・・・という言葉がありましたね。 赤ちゃんが一番最初に習う課題が、「信頼」だと言われます。空腹で泣けばミルクが与えられ、おむつが汚れれば取り替えてもらえ、落ちないようにしっかりと抱きかかえられ、言葉がなくても相手を信じて、愛されていることを知っていきます。この時に赤ちゃんは、すべて相手を信頼して自分をゆだねますね。 こうして“信頼感”を身につけるようです。 本校舎の保健室側の、下足箱の上に置いてある「日めくり」を みなさんは読んだことがありますか。 そこには、渡辺さんというシスターの言葉が「日めくり」となって置いてあります。 私が紹介するまでもなく、良く知られているシスターだと思いますが、シスター渡辺のお話を“信頼”のテーマとともにお伝えします。 シスター渡辺の著書に「置かれた場所で咲きなさい」というエッセイ集があります。 その中に、「どんな親しい相手でも100%信頼してはいけない。98%にしておきなさい。」という言葉があります。 では、2%は何なのでしょうか。それは「不信」ではなく「ゆるし」なのだそうです。 相手を完璧に信頼するからこそ、相手に間違いがあった時に、腹がたったり、裏切られた時、相手がゆるせなくなる。だからこそ相手を許せる2%の余地を最初からもっておきなさいとおっしゃるのですね。大切なゆるしの2%です。間違っても、相手を信じない2%ではありません。 信頼するということは大切な事です。 でも、悲しいことに完全な信頼はないのかもしれません。 大きくなって厳しい現実に直面したとき、人間の弱さに否が応でも触れたときや、自分も弱さを持ち、間違うこともあります。そこに2%でもゆるしのスペースがあれば、絶望することが無く、心が優しくなれるような気がします。 信頼がくずれたときは、相手も人間、何か事情があって仕方がなかったのだろう、どうにもならなかったのだろうと、2%の余白で相手を許しましょう。誰でも間違うこともあるのだから、許すことの大切さを学ぶことでもあります。シスターの言われる98%に信頼をとどめる努力と2%のゆるしの心で。 そんなことを言いながら、私は2%のスペースを作ることができているのか、なかなかできていません。残念なことに、100%信頼して、それが崩れた時、砕けてしまいます。 幼いころのように 「ごめんなさい」 「いいよ」 では片づけられない自分もいます。 でも、いつかシスター渡辺の言われる、2%の中に、心から相手の幸せを想い、優しく見つめられる自分になれるよう努力し、「信頼」する気持ちを大切にしたいです。 そして、信頼が間違った方に曲がったとき、ゆるす心が自分にやってきますように、祈ります。 よかったら、「日めくり」の言葉を そっと読んでみてください。 ふむふむ・・・と、自分にエールをおくってもらえるかもしれません。
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9/27(金) 朝礼のことば
9月最後の金曜日です。今年の夏は長く、日中は暑い日が続きますが、朝晩はようやく秋の気配が感じられるようになってきました。「秋」というと、皆さんは何を連想するでしょうか。スポーツの秋、食欲の秋、とさまざまですが、私はやはり「読書の秋」をあげたいと思います。 先日、2023年度の「国語に関する世論調査」で、月に1冊も本を読まない人が6割を超えることが公表されました。5割を超えるのは初めてだそうです。私は本を読むことが好きなので、少し寂しく感じました。 私にとっての読書は、単純に「楽しい」ものです。読書を通して、知らなかった世界を知ることができます。野球、陸上、バレー、バスケットボール、ラグビー、テニス、剣道、弓道、飛び込み、自転車ロードレース……私が読んだことのある小説で取り上げられていたスポーツです。運動が好きな人でも、実際にすべてをプレーすることはなかなか難しいのではないでしょうか。でも、読書を通してならそれができます。「スポーツの秋」は読書の中でも楽しむことができるのです。 「食欲の秋」という人にも読書はおすすめです。小説の中には食べ物や食事のシーンが出てくることも多く、料理そのものをテーマとした小説もあります。作家の人は料理好きや美食家が多く、エッセイなどで食の世界を楽しむこともできます。 本を読んでいて、「自分が味わっていた感覚はこれだったんだ」と、はっとすることがあります。それまで感じていたけれどうまく言葉にできなかったことを、明確に言葉で説明している文章に出会ったとき、そうだそうだ、と嬉しくなります。 よく言われるように、本には悩みの答えが直接書かれているわけではありません。でも、長い歴史の中で自分と同じように悩んできた人がいること、さまざまな悩みがあることを示してくれます。悩んでいる自分にそっと寄り添ってくれます。今いる場所とは別の世界があることを教えてくれます。読書は現実逃避なのではないかと思うこともありましたが、それでもいいと思うのです。一つの世界しかないと、苦しくなってしまうことがあります。今いる場所とは違う世界があると知れること、それも読書の醍醐味です。翻訳家で児童文学研究者の清水真砂子さんは、エッセイの中で、「本は窓だったと思う」と書かれています。「本がなかったら、私は今いる狭い世界だけがすべてだと思っただろう」と。 本を通してのさまざまな出会いの中では、理解できないものとの出会いもあります。大学で教えていた清水さんは、学生たちに「わからなくていい」と話されます。「わからないことがすてきなの。どうやっても歯が立たないものに出会うこと。自分の小ささを思い知らされること。それが歓びとなるような世界との出会いをしたい」と。知っているものとの出会い、知らないものとの出会い。読書はそれらを与えてくれる、とてもすてきなものだと思います。 もちろん、何を面白いと感じるかは人それぞれです。スポーツやゲームがそうだ、という人もいるでしょう。でも、私にとってそうであるように、誰かにとっても読書は面白いもの、助けとなるものになり得ると思うのです。世の中にはたくさんの本があります。必ず、自分にぴったりの本があるはずです。たくさん読むのもいいし、一冊の本をじっくり読むのもすてきなことです。自分なりの楽しみ方を見つけてほしいと思います。 そして、こうやって本の話ができるというのも幸せなことだと思っています。世界には「読まない」のではなく、本そのものを手に取ることのできない状況にある人もいます。手元にある役割を終えたと思う本を次の必要な人のところに届ける、という図書委員会の「ありがとうブック」の取り組みにもぜひ参加してください。 4月から始まった今年度も折り返しです。これからの季節に、本を手に取ってみてください。自分の世界を広げる、あるいは深めるきっかけが待っているかもしれません。本を読めることに感謝しつつ、自分なりの「読書の秋」を楽しんでほしいと思います。
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9/20(金) 朝礼のことば
私たちは今、地球にとっての12月31日、23時59分59秒を生きているという話を聞いたことがありますか?これは、地球46億年の歴史を、1年の365日に当てはめた「地球カレンダー」という考え方によるものです。つまり、46億年を365で割ると、地球に人類が誕生するのは最後の1日にあたる12月31日になってから。さらに、産業革命後を生きる私たちは、まさに地球の生涯の中で最後の1秒を担っていることになるそうです。そのたった1秒で地球環境をおかしくしているとしたら大問題ですよね?!今話したことは、「中高生のための朝日SDGsジャーナル」の中で、お笑い芸人のあばれる君がインタビューに答えているものです。私は、この記事の中で「地球の生涯の中で最後の1秒を担っている私たちが、そのたった1秒で地球環境をおかしくしている」という部分が印象的でした。産業革命後、私たち人間はさまざまなものを開発し、自分たちの生活を便利で豊かなものにしてきました。しかし、それと同時に多くを犠牲にし、地球に大きなダメージを与えてきたのも事実です。実際、夏は年々気温が上昇し、今も9月が終わりを迎えようとしているのに、萩市では連日35度以上の猛暑日が続いています。この気候変動が人間によって引き起こされていることは、疑う余地がなく明確であると言われています。46億年もの間、たくさんの命を守ってきた地球の環境を、私たち人間がたった1秒で壊してしまっていいのでしょうか? では、私たち一人ひとりにできることは何でしょう?あばれる君は、「中高生には、自分たちが地球の最後の1秒を担っていることを自覚して、身近な家族やこれから生まれてくる子どもたちのためにできることを少しずつ始めてほしいと思う。SDGsゴール達成のためにいつか何かをしたい…と考えているなら、今すぐ始めるべき!と伝えたいですね。」とインタビューを締めくくっています。 私たちの学校では、生徒会を中心に、委員会ごとにSDGs目標達成に向けての具体的な取り組みを行っています。私は中学生の活動を間近で見ていますが、中学生ならではの斬新なアイディアを実行に移したり、毎年新たな取り組みに挑戦したりしている姿を見て、いつも感心しています。私は、光塩は、学校単位ではSDGsに対してかなり意識が高いと思っています。 では、個人単位になるとどうでしょう?生徒の皆さんは、学校以外の活動で取り組んでいることはありますか?何かしたいけど、まだ実践できていないという人は、ぜひ先生たちにヒントをもらってください。先生たちは、一人ひとりがSDGsに対して取り組む個人目標を決め、月に3回以上行うようにしています。「ノーペットボトルデー」、「給食おかわりデー」、「Yes募金デー」など、中高生でも簡単に取り組めるものがたくさんあります。皆さんも自分の目標を決め、月3回以上実行してみてはどうでしょうか?長い間、たくさんの命を守ってきてくれた地球にこれからも住み続けるために、そして私たち人間が1秒でおかしくしてしまった地球環境を少しでも元の状態に戻すために、一人ひとりが自分にできることを考え、具体的な行動に移していきましょう。