朝礼のお話
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9/17(水) 朝礼のことば
私の授業ではハレルヤを歌うために並び直すということをします。生徒の皆さんは想像ができると思います。最初はみんな言った通りには並べません。というか、時間がかかります。1列目は9人、2列目は8人、3列目は8人にして、と具体的に言っても誰かが動くのを待っている人がいます。いつも見ていて思いますが、自分が動かなくても誰かが動いてくれる、この人の隣が良い、私はこの場所がいい、と自分だけの気持ちとを優先しているのだと思います。バランスを見て、譲って動くのはいつも同じ人。こういうことは音楽の時間だけではありません。先日の体育祭練習の期間でも「これ運んで」「あれ片付けて」の声にすぐに走っていくのはいつも同じ人。 授業などでは手を挙げたり、自分の意見を言ったりするのは勇気がいります。自分の考えていること、感じたこと、心の中のことを誰かに伝えるのは「相手や周りがどう思うだろうか」が気になり言いづらいこともあります。生徒会立候補や委員会、級長を決める時などは立候補したいけど自分にできるだろうか、私が手を挙げたらどう思われるだろうか…など、悩んでいるうちにサッと手を挙げる人がいて、後悔をしたことはないでしょうか。 全員がすぐ動ける人になることは難しいですが、動くことはチャンスが巡ってくることです。手を挙げて発言して、例えそれが間違っていても、「自分の意見をきちんといえる人」として周りが認識します。「誰かこれやって」と頼まれたときに「めんどくさい」を押し殺して、笑顔で「いいよ」が言えたなら、そこに信頼が生まれます。人間関係とはそんな小さなコミュニケーションから良くなっていったり、悪くなっていったりします。 今日から「今だ」と思った時に発言や行動ができるように、少し勇気を出してがんばってみてください。
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9/10(水) 朝礼のことば
この日曜日、2学期最初の学校行事である体育祭が無事に終わりました。始業式から体育祭当日まで、暑い中でしたが、当日は、程よく過ごしやすいコンディションで体育祭を無事に終わらせることができました。全力で走る姿、思い切り楽しむ姿、自分の組をそして相手の組にも惜しみない応援を送る姿、体育祭の成功に向けみなさんが真剣に取り組んできた成果がつまった、すばらしい体育祭となりました。本当にお疲れ様でした。現実に戻りますが、今日からはまた授業が再開、明日は実力テストと、しばらくは気持ちを勉強集中モードへと切り替えて日々を過ごしていきましょう。 さて、私はこの夏休み期間に様々な研修会や勉強会に参加しました。多くの学びを得た夏休み期間となりました。その中でも一番印象に残っているのは、7月28日~30日までの3日間行われた私立学校初任者研修中国・四国地区研修会です。これは、中国・四国地区にある私立学校で働いている先生になって5年以内の若い先生が集まっての勉強会です。毎年行われており、今年度は山口県が開催地ということで、私は運営スタッフとしてこの研修会に参加しました。今回は106名の先生方が参加しており、講演を聞いていろいろと考えたり、グループに分かれて討論したりしながら熱心に学びを深めていました。「生徒にとって分かりやすい授業ができる専門性をもった教員になりたい」、「部活指導において信頼してもらえる教員になりたい」など、目を輝かせながら、10年後の自分の姿について話し合う姿や、活発に意見を交わしながらこれからの自分の糧にしようとする姿がとても新鮮で、私自身も若い先生方からたくさん勉強させられました。最終日に全体講評としてある校長先生が、「自分の夢をもたないといけない。夢をもつことから始まる。」という言葉をおっしゃっていました。この言葉自体は、みなさんもそうだと思いますが私も様々な場面で聞いてきましたし、夢をもつことの大切さも十分に理解しているつもりでした。しかし、将来の私立学校を担っていくであろうエネルギッシュな若い先生方と3日間一緒に過ごした後だからこそ、この言葉を聞いた時に、自分の中にすぅーと入っていく感じがしました。私は教員になってもうすぐ20年になりますが、私自身も何か夢をもち、気持ち新たに過ごそうと思うことができた3日間となりました。 今日皆さんに伝えたかったことは、何かに取り組む時には、自分の夢や目標、目的をもって取り組んでほしいということです。先日の体育祭も、みなさんが、盛り上がる体育祭にしたいと取り組んだからこそ、すばらしい体育祭となりました。これからもみなさんは、学校行事、部活動、受験など多くのことに挑戦していくと思いますが、何事にもエネルギッシュに取り組んでください。そしてぜひ、みなさんにとって本当の意味での「夢をもつことの大切さ」に気づける日がくることを願っています。
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9/3(水) 朝礼のことば
皆さん、おはようございます。今日は、9月のテーマである「協力」についての話をしたいと思いますが、毎月のテーマに関わる聖書の話ではなく、違った視点で「協力」ということについて話します。まず、辞書で「協力」という言葉を調べると次のような説明が書かれています。「協力とは、複数の個体が共同で行動し、特定の目標を達成するための行為をさす。個体は人間だけでなく、動物や機械、組織なども含まれる。協力は、個々の能力や知識を組み合わせることで、単独では達成困難な目標を達成するための重要な手段である。」 皆さんは、すでに日々の生活の中で、人間同士が互いに協力することによって、より快適に、より効率的に過ごせることを実感していると思いますが、人間は、時には「協力しない」という選択的行動をとることもあります。なぜでしょうか。私は、こう思います。それは、めんどくさい、やりたくないなどの個人的なわがままや、相手や集団に対する個人的な不快感情や相手の能力に対する信頼感の欠如などがそういう行動をとらせるのだと思います。言い換えるならば、すべて相手や集団への愛の心の欠如から来ているものだと思います。 「協力行動」は、人間以外の動物でも多く見られます。例えば、カクレクマノミという魚はイソギンチャクと相互共生して協力しながらウインウインの生活をしています。また、アリはえさを発見すると腹部から道しるべフェロモンという化学物質を分泌し地面につけながら巣に戻り、他のアリはこれを触覚でたどりながらえさの場所にたどり着き、仲間と協力してえさを集めます。さらに、ミツバチは、花のある場所までの距離や方向を彼ら特有のダンスによって仲間に伝え、協力して蜜を集めます。人間以外のこれらの動物の協力行動では、「協力しない」という選択肢は、ほぼないようです。もちろん、人間以外の動物の行動は、ほとんどが本能的な行動なので、人間の「協力行動」と比較することはできません。 人間は、本能的な部分と同時に、理性と自由意志をもち、善悪の判断ができます。そして何より、人を愛することができます。他人と協力することによって得られるのは、効率的な目標達成だけではなく、必ずそこに、お互いの存在を認め合う喜びがあると思います。協力することを通して喜び合える2学期にしていきましょう。
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7/16(水) 朝礼のことば
おはようございます。もうすぐ夏休みですね。毎日暑い日が続いています。 私は、夏の強い日差しを浴びるたびに1冊の絵本を思い出します。『かたあしだちょうのエルフ』という絵本です。萩光塩学院小学校の図書室にその絵本はありました。当時、図書室の先生をしておられた山口清先生に薦められて読んだ絵本です。『かたあしだちょうのエルフ』は、『バーバパパ』や『はらぺこあおむし』のような明るくポップな絵本ではなく、アフリカの乾いた砂地のような背景に動物たちの黒い影が躍動する、少し渋めの絵本でした。きっと薦められなかったら手に取ることはなかったでしょう。山口先生に薦められる本はいつも素敵でした。 だちょうのエルフは、動物の子供たちと遊ぶことが大好きでした。しかし、ある日ライオンに片足を食いちぎられ歩けなくなります。ただそこに立っていることしかできなくなったエルフが最後にできたこと。それは小さな動物たちのために木陰を作ることでした。小学校三年生だったか四年生だったか忘れましたが、夏休みにこの絵本を読み、私は、私の足元にできた「影」にやすらぎを求めにくるものの存在を確かめずにはいられませんでした。 今年の四月、大阪で開催されている、建築家・安藤忠雄さんの個展に行く機会を得ました。 「くっきりとコンクリートに描かれる光の道に比例する、影」 これはそのときに私が詠んだ短歌です。安藤さんが設計した代表的な建物の中に、「光の教会」があります。打ちっぱなしのコンクリートの壁に開けられた、十字架型の窓から差し込む光は、そのまま光の十字架となり礼拝堂を照らします。大阪の個展のイベントでは、映像技術を駆使して「光の教会」が再現されていました。その圧倒的な光を浴びながら、私は、光が強ければ強いほど影が濃い、ということを実感しました。 「人間にとっての幸せは、光の下にいることではないと思う」安藤忠雄さんの言葉です。決して「影」の中にいなさい、ということではありません。この言葉には続きがあります。「光を遠くに見据えてそれに向かって懸命に走っている、無我夢中の時間の中にこそ人生の充実があると思う。」安藤さんは、高校時代、17歳でプロボクサーとなります。ボクサー引退後は、大学に進学せず、独学で一級建築士の資格を取得します。そして世界的に有名な建築家となりました。83歳の現在、安藤さんは子供たちの未来に希望の光を求め、子供たちが自由に本を読むことのできる「こども本の森」という施設の建設に力を注いでおられます。現在国内に五か所あります。窓から光がさんさんと差し込み、壁一面に本が並び、子供たちが自由に本を読める場所です。それは、だちょうのエルフがつくった木陰のようです。できれば、今年か来年の夏には、「こども本の森」に行ってみたいなあと思っています。 明後日から夏休みです。受験や部活で忙しい人も、ぜひ、自分の木陰を見つけて本を読んでみてはいかがですか?
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7/2(水) 朝礼のことば
文化祭、ダンス発表会と、みなさんが楽しみにしていた行事が無事終わりました。とても素敵な思い出ができたことと思います。しかし…言いにくいのですが…残念ながら、人生楽しいこと、自分の気持ちの向くことばかりではありません。今みなさんは、試験週間に突入しています。勉強に集中し、提出物を仕上げなければなりません。それを後回しにして、友達とDMしたり、インスタ、TikTok、YouTubeをだらだら見たり、ゲームをしまくったりしていませんか。それは、英語でprocrastinationと言います。日本語では「先延ばし」という意味です。これは自分の好きな事においては起きない現象です。 アメリカ人のTim Urbanさんは、先延ばしのプロフェッショナルです。ちなみにハーバード大学卒の、いわゆるエリートです。そんな人でも先延ばしをするのです。さて、彼は、先延ばしをする人の脳内を面白いイラストで説明しています。簡単に紹介したいと思うので、みなさん、ちょっと想像してみてください。準備はいいですか?あなたの脳の中です。あなたは今、脳の中で自分自身を操縦しています。試験週間中なので、期末テストで良い成績をとるために、提出物を仕上げるために、必死にゴールに向かっています。ハンドルをにぎっているのは、もちろん「真面目なあなた」です。そこになんと、1匹のサルが現れます。サルは努力や継続、自分が楽しくないことは嫌いです。今この瞬間に楽しいことを最優先させたい生き物です。そんなサルが、頑張って操縦しているあなたにささやきます。「ちょっと一瞬インスタ見ようよ、面白いよ~!」…油断したあなたはサルにハンドルを奪われます。もう楽しいことに一直線です。こうなると、必死に操縦していたはずのあなたは、サルの仲間になってしまいます。今日はなんとテスト3日前です。このままでは後悔するし、人前で恥ずかしい思いをするかもしれないし、あの先生に怒られるし、最悪な結果が待ち受けていることも、冷静に考えれば分かります。でもあなたとサルは、この危機的状況にまだ実感が湧いていません。そんな時に現れるのがパニックモンスターです。パニックモンスターは、うなり声をあげながらサルとあなたに向かってやってきます。危機を教えてくれます。そこであなたは我に返り、ハンドルを取り戻します。最後にできる限り詰め込んでテスト勉強を終えました。提出物も仕上げました。どんな気持ちでしょうか。スッキリした気持ちでしょうか? ただ間に合うのと、計画的に一生懸命取り組んで間に合うのでは、喜びや満足感の度合いが違うと思いませんか?自分の中に残るものの大きさも、どれだけ成長できるかも違います。周りからの評価も違うかもしれません。 私も含め、多くの人はprocrastinator 「先延ばしにする人」だと思います。 先延ばしが良くないことは、みんな分かっています。「先延ばしをする者は不幸と闘う。」2,800年も前の詩人の言葉です。Procrastination is the thief of time. 「先延ばしは時間泥棒。」ことわざです。先延ばしの解決策はただ一つ。みなさん、その瞬間の喜びを最優先させるサルに負けないでください。…サルの正体が分かりましたか?そうです。自分を操縦しているのはもちろん自分ですが、その瞬間の楽しいことを最優先させるのも、自分なのです。すべて自分次第ということです。 7月の月目標は「喜び」です。勉強だけではなく、出会い、かかわり、ゆるし合ってきた関係の中で、みなさんが今やるべきことを「先延ばしにしない」選択をしてほしいと思います。そうすることであなた自身の喜びが、そして周りの「喜び」が2倍にも3倍にも、10倍にもなるはずです。The time to start improving is now. 改善を始めるのは今です。期末試験、頑張ってください。
