おはようございます。
今日は「見える色、感じる心」をテーマに話をします。
みなさん、虹といえば何色を思い浮かべますか?
日本では「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の7色と教わりますよね。
でも実は、国によって虹の色の数や見え方は違うのです。
アメリカやイギリスの人々は6色、ドイツや中国の人々は5色。
アフリカの一部の民族の人々では、3色や4色、2色と表現するようです。
見る人の文化や感性によって、同じ虹でも違って見える…それって、とても不思議で、おもしろいですよね。
日本には、「日本伝統色」と呼ばれる日本特有の色が、約500色もあるといわれています。桜色、茜色、紅葉色…。
こうした色の名前には、自然の風景や季節のうつろいが込められています。
たとえば「桜色」は、春のやわらかい陽ざしに透ける花びらの色。
「茜色」は、夕焼け空がゆっくり沈んでいくときの、あの赤みがかった空の色。
日本には他にももっと繊細な名前の色がたくさんあります。
「朽葉色(くちばいろ)」は、秋の終わりに落ちた、ちょっと枯れかけた葉っぱの色。
「梅鼠(うめねず)」は、うっすら赤みを帯びた、灰色のような曖昧な色。
「利休茶(りきゅうちゃ)」は、侘び寂びの精神を映すような、落ち着いた茶色。
「藍色(あいいろ)」。
藍という植物からとれる、深くて落ち着いた青は、着物やのれん、野良着など、さまざまな暮らしの場面で使われてきました。葛飾北斎をはじめとする浮世絵師にも愛され、海外でも評価され、「ジャパンブルー」と呼ばれることもあります。
「きつね色」「、ねずみ色」のように、生き物にちなんだ名前の色や市川團十郎にちなんだ「團十郎茶(だんじゅうろうちゃ)」という茶色も存在します。
どれも、ひと目でわかる派手な色ではありません。しかし、日本人はこういう目立たない色にさえ、美しさを感じて、名前をつけてきました。それだけ、自然の中にある微妙な色の違いを見つけ、名前をつけ、心で感じてきたということです。
たとえば、風鈴の音に夏を感じたり、雨のにおいや音に、ふと心が落ち着いたり。鳥のさえずり、虫の声、風が木を揺らす「さわさわ」という音。そして、夕日に染まる空を見て「きれいだな」と感じる気持ち。それが、「感性」です。感性は、心を少し澄ませることで、磨かれていきます。「なんか好き」「美しい」「なんだか心が惹かれる」「この瞬間が心地いい」
そんな気持ちを、見過ごさず、大切にしてほしいと思います。それは物だけでなく、色、音、光、におい——
日常にあふれる自然の中にある“美しさ”に気づき、感じることができる人でいてほしい。そう願います。