先週の土曜日、中学校の英語スピーチコンテストが行われました。毎年、1年生は自己紹介、2年生は物語の暗唱、3年生は自作のスピーチを英語で披露します。英語が得意な人もそうでない人も、人前での発表が得意な人もそうでない人も、全校生徒一人ひとりが約100名の観客の前で発表します。おそらく、大半の人が気が進まず、「やらされている感」が強かったのではないでしょうか?海外留学するわけでもないのに、何で全員が英語スピーチをしなければいけないのでしょうか?これは、英語の知識を習得するだけの行事ではありません。苦手なこと、嫌なことからも逃げ出さずに、最後までやり遂げる力を身につける場だと思います。今年、ある卒業生が、「当時、英語スピーチコンテストは嫌だ嫌だと思っていたけれど、周りの人たちに協力してもらって必死に覚え、3年間やり遂げた。そのおかげで、何事にも全力で取り組むことのできる強い心がもて、それが自分の長所になった。」と話してくれました。中学生の皆さん、今回のスピーチでその力はつきましたか?
これは学校行事だけでなく、日々の学習でも同じことが言えます。先日、私はある中学校の授業見学に行きました。数学の授業で、内容は「平方根を含む式の展開」でした。黒板に映し出されている問題を見て、「あれ、どうやって解くんだったっけ?」と思うものもありましたが、先生の説明を聞くうちに記憶が蘇り、問題を解くことができました。中3で習って以来、1度も平方根の計算なんてしたことないから、忘れても当然だと思いました。では、なぜ平方根を含む式の展開なんて習うのでしょう?その先生は、私の心を見透かしたように、次のように言われました。「おそらく、皆さんが社会に出て、今勉強している内容、平方根の計算を使うということはないでしょう。では、なぜこんな勉強をするのか?公式に当てはめて丁寧に展開していく。そうすることで、頭の中を整理し、筋道を立てて物事を考える力を身につけているのです。筋道を立てて物事を考える。それは大人になってからも大切な力です。」と。
一見、将来、役に立つのか分からないように思える勉強や学校行事も、無駄なことは一つもなく、皆さんの将来に繋がっていると思います。皆さんは、学校生活を通して、知識や技術だけでなく、社会に出たときに求められる力、必要な力を身につけているのです。そして、その力は、例えば自分が得意な数学でも、面倒くさい計算から逃げていては、身につきません。また、得意とするスポーツでも、嫌な基礎練習から逃げていては、その力は身につきません。嫌なこと、苦手なことからも逃げ出さずに根気強く続け、壁を越えたときに、その力が身につき、成長できるのだと思います。今はそれを感じることができなくても、何年か先に、学生時代を振り返った時、光塩で経験したあの出来事が今の自分に生かされていると感じてもらえたら嬉しいです。
今週の土曜日は、文化祭です。「楽しかった。」「面白かった。」だけでなく、この行事を通して、皆さんはどんな力を身につけますか?